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よくある質問

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FAQ(よくある質問)

 

Q.海外での養子縁組後、日本での特別養子縁組は認められる?

相続にも関係する養子縁組ですが、外国人との養子縁組の場合、日本で判断できるか問題になります。

親が日本人、子がベトナム人という場合で特別養子縁組の管轄、準拠法が問題となった事案を紹介します。

東京家庭裁判所令和元年5月27日審判です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.28

事案の概要

申立人らは日本国籍の夫婦。主にベトナムで生活していました。

申立人夫は47歳、 申立人妻は48歳。申立人夫は医師として勤務し、 申立人妻は主婦として家事・育児に従事。

夫婦は、ベトナムで3歳の未成年者と養子縁組(ベトナム国籍)。
未成年者の実母は、ベトナム国籍。実父は、出生証明書にも記載はなく、所在不明。

実母は、平成27年、未成年者を出産したものの、養育環境が整わず、未成年者は、平成29年2月21日、ベトナムのセンターに引き渡されました。実母は、同年5月8日、外国人が未成年者を養子にすることに合意し、未成年者が養親に引き渡された日から、未成年者の世話、養育、経済的援助の提供、法的な代理、損害賠償、個人財産の管理の処分を行う権利義務を有しないことを理解している旨の署名もしていました。

申立人ら夫婦は、実子に恵まれなかったが、特別養子縁組を検討するようになり、平成28年9月、ベトナムの司法省養子縁組局との間で養子のあっせんに関する手続を進め、平成29年、ベトナムにおいて養子縁組が成立し、同日、未成年
者の引渡しを受けました。

申立人らは、平成29年、東京都の区長に対し、未成年者との間の特別養子縁組の届出をしようとしたが、平成30年、普通養子縁組として受理されました。申立人らは、未成年者の日本における将来的な監護環境を確保することが未成年者の福祉に資すると考え、共同で本件特別養子縁組の申立てをしました。

日本の裁判所に国際裁判管轄があるのか、準拠法はどうするのか問題とされました。

 


家庭裁判所の判断

東京家裁は、本件の申立があった時点において、申立人ら及び未成年者は、主としてベトナムで生活しているが、 1年のうち相当期間は日本に滞在し、その際は、申立人妻の住所地にて生活しており、 日本に居所を有していると解することができるから、申立人らの国籍が日本にあることも併せ考えると、本件の国際裁判管轄は日本にあると認められるとしました。


本件では、法の適用に関する通則法第31条1項前段により、申立人らの本国法である日本法が適用され、養子の保護要件については、同条1項後段により、養子となる者の本国法であるベトナム法が適用されるとしています。


既にベトナムで養子縁組(断絶型であると解する。)が成立している上、 日本法における特別養子縁組に関する要件
を全て充たしていると認められるとして、特別養子縁組を成立させる判断をしました。

 

 

国際裁判管轄


国際裁判管轄については、 平成30年4月18日に人事訴訟法等の一部を改正する法律が成立しています。

事件類型ごとにルールが決められています。同法は、平成31年4月に施行されています。

養子縁組許可や特別養子縁組申立て事件の国際裁判管轄については、養親となるべき者又は養子となるべき者の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にある時に認められるとされています(家事事件手続法3条の5)。

養子縁組事件では、養子となるべき者の利益を判断するところ、関係者の生活状況等の調査が必要となります。この調査は、養親や養子の生活の本拠でおこなうことで可能となります。そこで、このようなルールが決められたものです。

 

もっとも、日本の裁判所に管轄がない場合でも、具体的な事情によって、日本の裁判所が管轄を否定してしまうと裁判を拒否することになってしまうような場合には、例外的に日本でも管轄があるという判断を否定するものではないとされています。

本件は、平成30年の申立てですので、この改正法以前の判断です。

本件では、未成年者が日本とも行き来があり、家庭裁判所調査官による調査が可能と見込まれました。

比較的頻繁かつ相当な期間.申立人妻が住民票登録をしている日本の住所地で生活をしている事情もありました。

改正法によって、日本で判断されたと考える余地があります。

 

 

準拠法について

国際裁判管轄の次に、準拠法を確認する必要があります。

渉外特別養子縁組の成立要件がどうなるかの問題です。

法の適用に関する通則法から、養子縁組について、縁組の当時における養親となるべき者の本国法によるとされています。

また、養子となるべき者の本国法によればその者若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機関の許可その他の処分があることが養子縁組の成立要件であるときは、その要件も備える必要があります(通則法31条1項)。これが判決で触れられている保護要件の話です。


本件においては、養親となる申立人らは、日本国籍を有しています。

まず、日本法によって判断されることになります。

ただし、子の本国法である、ベトナム法の要件もチェックすることになります。

本件では、既にベトナムで養子縁組が成立していることが確認されています。

 

なお、特別養子縁組自体、法改正もされています。

特別養子縁組の改正点は?

 

 

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