よくある質問
FAQ(よくある質問)
Q.特別養子縁組の改正点は?
特別養子縁組についての法改正がありました。
民法改正で2020年4月1日施行です。
特別養子の年齢が15歳未満に変更、手続面での変更があります。
動画での解説はこちら。
特別養子とは?
よく使われる養子縁組という言葉のときは、普通養子縁組のことが多いです。
養子縁組は、普通養子縁組と、今回改正された特別養子縁組の2種類があります。
法改正があったのは、特別養子縁組の方。
普通養子縁組は、養子縁組届を役所に出したりすることで成立し、手続も比較的かんたんです。
養子縁組の要件も、特別養子縁組に比べるとゆるいです。
特別養子縁組は手続きも要件も、普通養子縁組に比べて大変です。
家庭裁判所の審判も必要です。
特別養子縁組の効果は?
特別養子縁組の効果は非常に強いです。
何が違うのかというと、特別養子縁組は、もともと養子として育てるのではなく、自分の子として育てたいという強いニーズがあったことから作られた制度といわれています。
例えば、実の親がいるけれども、実親が虐待をしているようなケースだったり。
このような場合に、実親と子との間の関係を切るような手続です。
血族関係の終了
強い効果として、血族関係の終了があります。
実の親と子どもとの関係は、血族関係として、血がつながっている関係ですが、これが終了します。
特別養子縁組があると、実親と養子の間では、相続関係も発生しなくなります。
親族関係による扶養義務、養わなければいけない義務もなくなります。
唯一、近親者間の結婚規制が残る程度です。
ほぼ、法的にも縁を切る関係といっても良いでしょう。
特別養子縁組と戸籍
特別養子縁組の場合、戸籍の記載も普通養子とは違います。
実の子供として育てたいというニーズから、戸籍に養子と書かないで欲しいという養親の気持ちがあります。
普通養子縁組では、養子という記載がされます。
これに対して、特別養子縁組では原則として養子という明記はされません。
連れ子の縁組では例外もあるのですが、両親ともが別戸籍のところから特別養子縁組をする場合、養子は、実親の戸籍から出て別戸籍を作成、その後に養親の戸籍に入ります。
その際、特別養子縁組という日本語は用いず、民法817条の2の裁判確定という記載になります。
民法の規定を調べれば特別養子縁組手続きであることはわかりますが、パッと見た時にはわかりにくい記載になります。
特別養子縁組と離縁
特別養子縁組は強い縁組です。
そのため、養子縁組を解消する自由はありません。
普通養子縁組の場合には合意があれば離縁届の提出により離縁ができます。また、合意を得るための調停、得られない場合の審判など、離婚と似たような手続が可能です。
しかし、特別養子縁組は強い効果が出る手続であり、原則として離縁ができません。
養親からの離縁請求は不可。
特別養子側からの離縁請求というのは虐待事件のようなものであれば認められる可能性がありますが、例外的な扱いです。
特別養子縁組が認められる要件
特別養子縁組では家庭裁判所の審判が必要です。
その審判では要件を満たしているかがチェックされます。
特別養子縁組が認められる要件の一つは、養親は夫婦でなければならないというものです。
そのうえで、養親の年齢としては原則として25歳以上。
ただ、夫婦の一方が25歳以上ならばもう片方が20歳以上で良いとされています。
特別養子の年齢が変更
また、養子の年齢が、6歳未満とされていました。
養親との強い関係となるのが、特別養子縁組なので、子どもがまだ小さい頃、未就学児でないと、そのような強い関係に適応できないのではないかと思われていたわけです。
まだ学校に行ってないような子どもであれば、養親を実親のようにして育つこともできるだろうと。
ただ、実際には、もっと上の年齢でも認めてよいのではないかという事件が増えてきていました。
そこで、この養子の方の年齢制限を変更したのが今回の改正です。
まず、改正法は、養子の上限年齢を、原則として特別養子縁組成立の審判の申立時に15歳未満までとしました。
義務教育中には申立をさせようという趣旨ですね。
申立時に15歳以上でも許される例外
この例外として、
・養子が15歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されていて、かつ、
・15歳に達するまでに特別養子縁組の成立の審判の申立てがされなかったことについてやむを得ない事由があるときは、
審判申立時に15歳に達している子についても、特別養子縁組を成立させることができるとしています。
ただし、この場合でも、縁組成立時に18歳に達していると、特別養子縁組はできません。
養育期間が短いような場合には、やむを得ないと認められる可能性が高そうです。
養子縁組成立時の年齢上限
審判申立時の年齢規制以外に、養子縁組成立時の年齢も問題になります。
特別養子縁組成立の審判の確定時にまでに18歳に達した場合、特別養子となれません。
特別養子縁組は、未成年者の養育を目的とした制度であることから、このような制限があります。
特別養子の同意
例外規定適用の場合など、養子となる者が15歳に達しているときには、特別養子縁組を成立させるには、養子の同意が必要です。
家事事件手続法でも、特別養子縁組の手続では、15歳に達した養子となる者については必ず陳述を聴かなければならないこととされています。
民法上、普通養子縁組では、15歳に達した者は自らの意思で縁組できます。
これとの均衡上も、養子の意思を尊重する規定です。
なお、今回の年齢引き上げに伴い、要件としての同意ではなくても、15歳未満であっても、養子の意思を確認したうえで、これを考慮して、特別養子縁組の判断をすることとなるでしょう。
特別養子縁組の審判手続の変更点は?
特別養子縁組は、実親による監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合に認められます。
家庭裁判所の審判で、この特別な事情があるかを確認することになるのです。
養親は、養子となる者を6か月以上の期間監護しなければならないという試験養育期間があります。
また、特別養子縁組の成立には、原則として実親の同意が必要ですが、これは審判確定まで撤回できるとされています。
養親としては、試験養育をしているものの、家庭裁判所で特別な事情が否定されたり、実親の同意が撤回されるというリスクを抱えることになります。
このような点に配慮し、必要な事案では、養親となる者が、実親側の要件である同意や、監護が著しく困難又は不適当という点を先に判断してもらい、その後に試験養育に移行できたり、特別養子縁組についての実親の同意撤回について制限をするなどしています。
2段階の審判
具体的には、手続が2段階に分かれます。
まず、特別養子適格の確認の審判手続。
その後に、特別養子縁組の成立の審判という2段階です。
1段階目で、同意や特別の事情を確認。
これで認められた人だけが2段階目に移ります。
2段階目に来た人は、同意等の実親に関する要件はクリアしていることになります。
2段階目の審判では、養親側の監護能力や試験養育等による養親子の適合性を判断します。
2段階目の審判には、実親はほとんど関われません。
まだ親権者であっても、手続に参加もできませんし、養子の代理として手続行為をすることも認められていません。家庭裁判所の陳述聴取の対象にも入っていませんし、認容審判も告知されず、審判日と主文が通知されるだけです。
同意の撤回制限
特別養子縁組に対する実親の同意が撤回される問題ですが、1段階目の審判手続でした同意は、2週間経過後は撤回できないものとされました。
このような同意は、実親が、裁判所で開かれる審問期日や家庭裁判所調査官の調査を経て書面でしたものに限られます。
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