よくある質問
FAQ(よくある質問)
Q.スマホデータの相続での注意点は?
普段、相続を意識していない人でも、スマホデータの相続は注意しておいた方が良いです。
今回はスマホデータの相続について解説します。
動画での解説はこちら
書籍『スマホの中身も遺品です』
『スマホの中身も遺品です』という本が、2020年1月に出版されています。
この本では、高齢者の夫婦がいて、夫が亡くなってしまった、妻が、この前旅行に行った時の写真が
スマホに入っていたはずだと、夫のスマホにアクセスしようとしたものの、スマホのパスワードを間違えすぎてスマホが初期化されてしまったというエピソードが語られます。
金融財産ではないものの、大事な思い出も失ってしまう、そのようなものがスマホに詰まっている、それをなんとか引き継ごうというコンセプトです。
これは、別に高齢者に限らず、他の年代でも考えなければならないことです。
もし、自分に何かあったときに、財産やデータに家族がアクセスできるのか、ちょっと考えてみましょう。
財産が目に見えにくくなった
相続財産というと、かつては、自宅に預金通帳があって、そこから預金口座を相続する、自宅の不動産があってそれを相続するというように、目に見える財産を引き継ぐイメージでした。
車もそうですね。
ただ、最近は、デジタル化によって、財産が見えにくくなっています。
これまで見えやすかった財産も、パソコンやスマホに入り、外部からわかりにくい状態になっています。
金融財産とスマホ相続
もともと相続の対象になる金融財産。
これがパソコンやスマホ内に情報として入っているというパターンがあります。
例えば、インターネットの銀行。
住信SBI銀行、セブン銀行などネット銀行では、通帳も支店もありません。
最近は、大手銀行も通帳を廃止する契約も増えています。
また、証券会社でも、ネット証券が主流です。
さらに仮想通貨も。
このような金融資産はもちろん相続の対象。
ただ、そこに金融資産があることが第三者にわかりにくいのが特徴。
万が一のことがあったときに、遺族が存在に気づけるかがポイントになってきます。
この存在に気づくことができれば、基本的にはこれらの相続手続は、普通の銀行の預金相続とかわりません。
問い合わせをして、必要書類を準備、手続きを進めるという形です。
存在に気づいてもらえるよう、家族に伝えられるような記録を残すことが大事です。
気付かれずに放置されてしまうと非常にもったいないです。
仮想通貨、暗号資産の相続
預金や証券会社よりも難しくなってくるのが仮想通貨。暗号資産と法的には呼ばれますが、仮想通貨の方がメジャーな呼び方ですね。
このような仮想通貨では、そこに家族がアクセスできるのかがより問題になります。
仮想通貨の相続では、取引所に預けているケースがまずあります。
取引所でも、仮想通貨の相続という話が少しずつ出てきている段階だそうです。
取引所によって対応は違うようですが、売却して代金を遺族に振り込むような流れで、銀行や証券会社と近い相続手続になっています。
これに対し、仮想通貨を取引所に預けていなくて、自分でウォレットに保管している場合は手続が大変になりそうです。
暗号鍵がわからず、復元できないとなると、家族が存在に気づけないということも多いです。
ただ、暗号鍵は通常、第三者に教えないよう言われているはずですので、遺言にだけ記載するなどの対応が考えられるでしょう。家族が詳しくない場合には、復元方法なども記載しておく必要があるでしょう。
この本のなかでは、仮想通貨の相続に関しては国会質疑が紹介されています。
仮想通貨で、パスワードがわからない場合でも相続税が発生するという国会議員の発言が紹介されています。
これが復元のパスワードだという趣旨だとすると、これがわからない場合、そもそも存在に気づけなかったり、保管数量もわからないのではないかという気もします。
仮想通貨では、動きが記録に残るようにはなっているのですが、慣れていないと追いかけるのは難しく、詐欺でも使われたりしています。
キャッシュレス決済と相続
次に、金融資産に準ずるものがあります。
Tポイントなどのポイント系や、キャッシュレスサービスでのチャージ額です。
スマホで使うLINE Pay、Paypayなども含まれます。
そもそも、これらの金額が相続されるのかどうかから問題になります。
キャッシュレスサービスは、始まって時間も経っていないことから、約款を見ても、相続の規定がはっきりと書かれていないものがほとんどです。
例えば、Tポイントだと、会員の地位は相続しないものとされています。
いくつかのキャッシュレスサービスに関しても相続は否定という規定が見られます。
その中で、LINE Payでは、規約に相続に関する記載があります。
残高を相続人に対して振り込みますと、ラインマネー規約に記載されています。
現金に代わる決済方法であり、現金に準じる性質からすれば、このような対応が当然でしょう。
本の中では、規約上、相続させないとされていても、個別に問い合わせれば相続を認めるという会社も多いとされています。問題が多くは起きていないので、規約に反映させていないという段階なのかもしれません。
キャッシュレス決済でも、ヘビーユーザーだと、かなりのお金をチャージしていることも多いので、意識しておきましょう。
これも、そもそも遺族に気づいてもらえるかが第一段階の問題となります。
財産目録にも記載しておいた方が良いですし、スマホ・パスワードが必要なら、そのような情報を伝える対応も必要です。
購入コンテンツの相続
次に、お金を出して購入したコンテンツがあります。
電子書籍や音楽、動画などです。
紙の本であれば、動産として相続財産になります。
また、タブレットのような機器自体も、動産なので、相続財産になります。
ただ、その中身の電子書籍などのコンテンツは、そのもの自体を買ったという扱いではなくてコンテンツにアクセスする権利を取得したという法的構成のことがほとんどです。
コンテンツそのものを所有しているわけではないのです。
動産でないとすると、アクセス権というものが相続の対象になるのかが問題になってきます。
しかし、多くのサービスでは、規約上、相続の規定はほとんどなく、むしろ、そのコンテンツを第三者に譲渡することはできないとの規定だけあります。
相続の規定は基本的にはないので、個別に問い合わせをしていく対応となるでしょう。
アマゾンなどでは、家族での共有設定もできるので、そういった設定でコンテンツを使えばいいのではないかという提案がされています。
ただ、共有設定だと、もとのアカウントはどうなってしまうのか、疑問は残ります。
本を電子書籍で大量に買っている人などは、このあたりを詰めておいた方が良いでしょう。
データ、SNSの相続
お金のような財産、対価を払って購入したものではないけど、大事なものが相続されるのかという視点もあります。
冒頭の写真データはここに含まれるでしょう。
また、データ以外に、SNSのアカウントがどうなるのかという問題点もあります。
SNSのfacebookでは、アカウント本人の死亡が判明すると追悼アカウントになってしまい、それ以降、投稿できなくなってしまう仕組みです。
また、Googleでは、Googleフォトなどのクラウドを利用したバックアップサービスが提供されています。無料だったものの、有料化の報道がされました。
ただ、亡くなった人が、ここでバックアップをとっている人であれば、スマホにアクセスできなくても、クラウドデータにアクセスすることで、データは確保できます。
Googleのサービスでは、二段階認証の設定をしている人もいるので、そのあたりがクリアできるかが問題になりそうです。
Googleでは、自分に何かあったときのために、アカウント無効化管理ツールが準備されています。
Googleのサービスを何日間使っていないと、指定した人に連絡したり、一定の権限を与えることができる仕組みです。
家族にアクセス権を付与することができるのです。家族はデータを確保できるというわけ。
2020年に、Googleは、長期間、利用していない場合にデータ消去という発表もしているので、この設定はしておいた方が良いかと思います。
これだけあると、やることが多いという印象を受けたかもしれません。
ただ、この本のなかでは、分類表が紹介されています。
託したい内容かどうか、隠したいかどうか。
放置リスクが高いか低いかで、四分類にします。
放置リスクが高く、託したい内容は優先度が高い。
そのように優先度が高いところからやりましょうという話です。
普段意識していない人も、チェックしておいてください。
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