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よくある質問

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FAQ(よくある質問)

 

Q.養子縁組無効の訴えを包括受遺者は起こせる?

結論からいうと、起こせないという最高裁の判断がされました。

養子縁組無効の訴えと包括受遺者についての最高裁判決の紹介です。

最判平成31年3月5日。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.28

事案

事案ですが、法定相続人ではない包括受遺者が、被相続人と養子との養子縁組について、養子縁組の無効の訴えを起こしたという内容です。


この訴えを起こせる訴えの利益があるのかが争われました。

最高裁の判断は、訴えの利益がない、という結論でした。

 

亡くなった方である被相続人には、養子縁組をした養子がいました。

一方で、その亡くなった被相続人は遺言をつくっていて、親族ではない原告に対して包括遺贈をしていました。
これに対して、養子は自分には遺留分があると主張し、これを包括受遺者に請求しました。

包括受遺者は、養子縁組が無効だと主張し、養子縁組無効の訴えを起こしました。
一審では、訴えの利益がないとされ却下、これが最高裁まで行ったという内容です。

 

 

最判昭和63年3月1日


最判昭和63年3月1日では、養子縁組の訴えを起こせる法律上の利益は、自分の身分関係に関する地位に直接影響する者、例えば、自分も子供のような相続人という立場などの場合に認められるとしています。

自分が子供であれば、他に養子がいるかどうかで身分関係に影響してきます。
しかし、今回は包括受遺者という立場であり、親族関係にはありません。
最判の基準からすると、法律を利益はないものとされます。


最判の基準では、身分関係への影響であり、権利義務に対する影響ではないとされています。

養子縁組無効の訴えは、対世効があり、強い効力のため、権利義務に対する影響ではなく、身分関係に関する影響でなければならないのです。

 

 

原審の判断

原審(高松高判平成30.4.12)は、養親の相続人と同一の権利義務を有する包括受遺者は、養子から遺留分減殺請
求を受けうることなどにから、養親の相続に関する法的地位を有するものといえるとし、養子縁組が無効であることにより自己の身分関係に関する地位に直接影響を受ける者に当たる、と判断しました。

このような訴えができるという結論です。

 

裁判所の判断

原判決破棄控訴棄却という結論でした。


包括受遺者は、立場上、相続人のように扱われますが、あくまで権利義務があるだけで、相続人の身分とは違うため、最判の基準に従い、訴えの利益を認めない判断となりました。

養子縁組の無効の訴えは縁組当事者以外の者もこれを提起することができるが、当該養子縁組が無効であることにより自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けることのない者は上記訴えにつき法律上の利益を有しないと解される(最高裁昭和59年(オ)第236号同63年3月1日第三小法廷判決・民集42巻3号157頁参照)と最高裁判決の趣旨を確認。

そして、遺贈は、遺言によって受遺者に財産権を与える遺言者の意思表示であるから、養親の相続財産全部の包括遺贈を受けた者は、養子から遺留分減殺請求を受けたとしても、当該養子縁組が無効であることにより自己の財産上の権利義務に影響を受けるにすぎないとしています。


したがって、養子縁組の無効の訴えを提起する者は、養親の相続財産全部の包括遺贈を受けたことから直ちに当該訴えにつき法律上の利益を有するとはいえないと解するのが相当であると結論づけました。

そして、被上告人は、亡Bの相続財産全部の包括遺贈を受けたものの、亡Bとの間に親族関係がなく、亡Cとの間に義兄(2親等の姻族)という身分関係があるにすぎないから、本件養子縁組の無効により自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けることはなく、本件養子縁組の無効の訴えにつき法律上の利益を有しないというべきであるとしています。

 

 

包括受遺者とは

包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有します(民990条)。

ただ、遺贈は、遺言者の遺言によって、財産権が譲渡されるものあり、法人も受遺者になることができます。

そのため、受遺者の地位自体は、相続人と同じような「身分関係に関する地位」とはいいにくいです。

本判決からすると、一部包括受遺者の訴えの利益も否定されると言われています。

 

 

養子縁組が有効か無効かについては、養子縁組無効の訴えではなく、遺留分の訴訟など個別の紛争の中で争うという方法になります。

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